しばらくの間、更新が滞ってしまいました。お久しぶりになりますが、ICU UNESCO CLUBです! 今年もブログやFBのご愛読、どうぞよろしくお願いします。
今回のトピックは「ドイツの歴史教育について」。担当部員の入念な準備もあって、一つ一つの内容に重みのある、とても充実した勉強会になりました。
ということで、本日は発表の内容を中心にご紹介した後、部員からの意見を交えて投稿したいと思います。
発表のおおまかな流れ
1ドイツの取り組み …20あやなによるドイツでのワークキャンプ体験談
2ドイツの戦後教育
3アメリカの歴史教育
4ワークショップ …今を生きる私たちの歴史認識を見つめなおそう
一つ一つの発表内容
1ドイツの取り組み
ドイツに今も現存する収容所や街の様子について、実際に見学して発見したこと、感じたことをシェアしてくれました。収容所の遺跡にはドイツが当時制作したプロパガンダと、内部をありのままに描いた資料・絵などが両方とも展示されており、読み切れないほどたくさんの情報があったこと。ツアーを引率してくれたドイツ人の方々は、自分たちの加害の歴史についてさえ隠さずに語っていたこと。最後に、このようなドイツでの一連の体験を経て、どの人にも戦時中に自分の国がしたことを知る責任があり、その責任を持つ姿勢を見せることが重要ではないかというあやなからのメッセージがありました。
2ドイツの戦後教育
続いて、ドイツの戦後教育に関する概要を五つの視点からプレゼンしてもらいました。まず、戦後責任に関するドイツの政治的な動きとそれに対する世界やドイツ国民の反応、次に、「つまずきの石」やホロコースト記念碑、国内の強制収容所といった街の様子から見えるドイツの取り組みについて。三つ目に、学校教育に見られる戦後責任を意識づける取り組みについて、また日本とドイツはなぜこんなに戦後教育の状況が違うのか分析した結果、最後にドイツの歴史教育に関する限界について解説を受けました。
3アメリカの歴史教育について
アメリカ出身の部員二人や高等教育をアメリカで受けた経験のある部員から、太平洋戦争についてアメリカではどのような解釈があり、どのような教育が行われているのか話してもらいました。日本でもアメリカでも曖昧になりがちな真珠湾攻撃の経緯を確認し、アメリカでの原爆投下に関する解釈や投下に至るまでのソ連や国内での裏事情などを発表してもらいました。同じアメリカとはいえ、州や学校によっても教育内容がかなり違っていることが分かりましたし、アメリカでの教育経験がある部員同士の三者三様の意見も興味深かったですよ。
4ワークショップ
最後に、3つのステップを通じてディスカッションにつなげていきました。まず、自分たちが覚えている範囲で、各自が覚えている「日本の太平洋戦争に関する歴史」を制限時間内に書き出しました。
次に、その中で自分がもっと知りたいと思う事象または人物を一つ取り上げ、知っていること、知らないこと、もっと知りたいことを書き上げました。最後に、「もっと知りたいこと」から考察すると、自分にはどのような歴史認識の態度があり、そしてその態度を耳にした他国の人々はどのような反応をするだろうか、ということまで考えを深めていきました。
ディスカッションクエスチョン
あなたの腹落ちとは何ですか? どうしたらはらおちできるんですか?
=どうしたら異なった歴史認識を持つ人(戦時中において対戦関係、占領関係、非占領関係にあった国の人々など)と分かり合うことができるのか?
ワークショップを通じて部員から出た意見です
・国、国民、戦闘員、といった括りではなく、たとえば同じアメリカに在住しながら迫害されていた日系アメリカ人、日本の占領下で苦しめられた満州の人、戦闘員の一人ひとりについて、といった「個々の人間」に目を向ける姿勢を私たちは持っているだろうか。
・「腹落ち」するためには、たとえば自国の加害の歴史を「意識においておく」だけでいいのだろうか。それとも責任を感じている姿勢を見せるような行動に移さなければ不十分なのだろうか。
・事実を知ることが重要なのか。事実を知ったうえで、そのような行為はしてはいけないのだと身に染みて感じることに本質があるのではないか。
・たとえば、「反日感情」によって被害国から過去の事件に関して何らかの主張がある場合には、うやむやにされた事実について知る機会が得られる。しかし、もはや「親日」になった国にもたらした被害に関しては、被害国もその事実を主張してこない。すると、その歴史は完全に忘れ去られてしまい、それこそ本当に怖い社会構造を生み出してはいないか。
今年度のICU UNESCO CLUB勉強会で話題になっていた「歴史認識」。日本と様々な関係に置かれていた国々との歴史を学んできた成果が、だんだんと春のスタツアに繋がっていこうとしています。今まで培ってきた考えを現地でどのように深めていけるのか、楽しみです。
スタツア中の部員の様子もぜひご覧くださいね!
また次回お会いしましょう♪
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